ノンフッ素シリカ洗浄(プレート熱交換器ノンフッ素薬品洗浄)
SUS製のプレート熱交換器に付着したシリカスケールを、応力腐食割れの原因となるフッ化物を使用せずに除去。
昨今、高COP・高効率・省スペースという観点から導入が増加している、凝縮器・蒸発器にプレート熱交換器を用いた水冷式チラー。
しかし高効率である反面、水路が狭いため、スラッジによる詰まりやスケール・スライムの付着による熱交換効率低下等のトラブル事例も多く耳にします。
そこで必要になるのがスケール除去洗浄ですが、一般的にシリカ除去に使用されてきたハロン系の洗浄剤をステンレス素材に使用した場合、応力腐食割れを起こす恐れがあります。
弊社では、熱交素材に悪影響を与えない特殊なプレート熱交換器薬品洗浄剤を使用し、プレートの分解が不要なCIP洗浄を施工しております。
お客様にご確認頂くため、施工時に撮影している洗浄前後のビデオスコープ写真
ブレージング(ロウ付け)プレート熱交換器
分解可能型プレート熱交換器
1.開発目的
これまでシリカスケールの洗浄(プレート熱交換器薬品洗浄)は、
- 弗化物を使用する。
- アルカリ処理後酸洗浄する。
- 特殊な有機酸あるいはその塩を用い、カルシウム成分と反応させることにより、間接的に除去する。
等の方法がとられています。
この中で、2.アルカリ処理後酸洗浄する方法と3.特殊な有機酸あるいはその塩を用いる方法は、対象となるシリカスケールの組成により十分な洗浄効果が得られない場合があり、比較的安定した効果が得られる弗化物利用が主流となっています。
しかし弗化物を使用する方法は、下記の1~3の廃液処理場の問題ばかりでなく、4~6等の制約を受けるため、弗化物を使用せず確実な効果が得られるシリカスケール洗浄法(プレート熱交換器薬品洗浄法)の開発が望まれていました。
- 水質汚濁防止法、下水道法によりフッ素の排出が規制されるため、洗浄廃液を産業廃棄物処理業者などに処理を委託しなければならないことが多い。
- 基準値が15mg/L から 8mg/Lに引き下げられたことにより、従来の消石灰での中和では基準値をクリアできない場合があり、2次排水以降も産業廃棄物処理業者などに処理を委託しなければならないことがある。
- 弗化物を含有する排水を活性汚泥処理装置に排出すると、汚泥菌に大きなダメージを与えやすい。
- 耐食材質として熱交換器によく使用されるステンレスは、塩化物イオンやフッ素等のハロゲン元素により応力腐食割れを起こすため、使用できない。
- 塩化物イオンに対し耐食性があるとして、耐海水用材質として使用されるチタンに対し腐食性がある。
- 酸性のフッ素化合物は医薬用外毒物若しくは劇物に指定される。
特に、今後使用の増加が期待されるステンレスやチタン材質のプレート熱交換器のメンテナンスには必須の条件となります。
そこで弊社では、薬品メーカーの協力の元、弗化物を使用せず弗化物洗浄法と同等若しくはそれ以上の洗浄効果を得ることができる「ノンフッ素シリカ洗浄法(プレート熱交換器ノンフッ素薬品洗浄法)」を開発・実施しております。
2.作用機構
(1)洗浄反応
酸洗浄剤(A)で洗浄することにより、スケール中のカルシウム、マグネシウム等の硬度成分スケール、錆、緑青等の金属の腐食生成物が溶解除去されます。酸洗浄剤(A)には金属にダメージを与えないよう、特殊なインヒビターが添加されています。
その後、アルカリ洗浄剤(B)で洗浄することにより、シリカスケールが溶解除去されます。
アルカリ洗浄剤(B)には、アルカリ性でも硬度成分や金属の腐食生成物を溶解する成分が配合されており、シリカ等と化合しているカルシウム等が残っていても溶解除去されます。
(2)系内中和
先に酸洗浄し、後からアルカリ洗浄することにより洗浄終了時には系内に酸が残らないため、水洗処理だけで良い。
(3)排水中和
酸洗浄剤(A)とアルカリ洗浄剤(B)を1:2の比率で混合するとほぼ中性となるよう、酸とアルカリの強さを調整してあり、洗浄終了後は両方の廃液を併せるとほぼ中性となる。
但し、スケールとの反応により酸やアルカリが消費されるので、廃液を混合した後、pHを微調整することが必要となることがある。
3.特長
- 弗化物は使用しませんが、弗化物洗浄法と同等若しくはそれ以上の洗浄効果が得られる。
- 酸洗浄後アルカリ洗浄をするので、系内中和が洗浄と同時にできる。
- 排水処理が容易である。酸洗浄の廃液とアルカリ洗浄の廃液を混合すると、中性に近くなるためpHは微調整するだけでよい。
- 洗浄剤に有害物質は含有しない。
- 医薬用外毒物若しくは劇物の指定を受けない。
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